INTERVIEW 社員インタビュー

マーベラスは、成長を望むクリエイターを後押しします!

デザイナー/スペシャリスト

業界の未来を担う若者を育てたい

学生時代からゲームをつくりたいと思っていて、特にリアルタイム3DCGの制作を希望していました。やりたいことができる職場を求めて就職活動をした結果、CGデザイナーとして小さなゲーム制作会社に入社しました。その後、会社が合併を繰り返すうちに、気がついたらマーベラス社員に。ゲームクリエイター歴は23年になりました。現在は、社内の開発環境整備を推進するテクニカルアーティストに加えて、プロジェクト内でデザインチームを統括するアートリード、コンシューマデザイン部社員の管理などを行うマネージャーの3役を兼務しています。

若い頃は、クリエイティブな仕事だけをやっていたいと思っていましたが、年を重ねるにつれて考えが変わりました。ゲームクリエイターであることは当然ですが、業界の未来を担う若い世代を育てたいと思う気持ちも芽生えてきたんです。特にテクニカルアーティストは、求められる知識や情報が膨大で、ゲーム業界に限らず全CGクリエイターの中でも数%程度しかいないでしょう。知識や技術は自ら努力して蓄え、磨いていくしかありませんが、置かれた環境に依存する部分も大きいと思います。テクニカルアーティストを目指す若手に環境とチャンスを与え、私が得てきたものを伝えていき、共に新たなプロダクトを生み出していきたいです。

 

テクニカルアーティストはデザイナーとエンジニアのハイブリッド職

テクニカルアーティストの業務は、デザイナーとプログラマーの間に立って、各プロジェクトで求められるグラフィック制作に関する技術的な課題を解決するほか、新しい表現や技術の提案、開発効率を上げるツール制作などの環境構築を行うことです。グラフィックス面を担当するテクニカルアーティストはビジュアルのセンスも必要になるため、個性によってさまざまなタイプに分けられると思います。私は、ライティングやシェーダーなどの絵づくりからアートディレクションまで担当する、デザイン業務を主軸としたテクニカルアーティスト。一方、R&Dに力を入れる人や技術に強くエンジニアリングに特化した人もいます。

ひと言でテクニカルアーティストを説明するのは難しいですが、デザイナーとエンジニアの双方の言葉の違いや考えを理解して形にしていくハイブリッド職だと私は考えています。アートかプログラミングのどちらかの強みを生かして、パイプライン開発をはじめ多岐にわたる業務に取り組みます。いずれにしても、たくさんの知識の引き出しが必要です。

これからマーベラスは、コンシューマゲーム事業を拡大していくので、テクニカルアーティストの数も増やす必要があります。大変なポジションではありますが、しっかり務められれば一流のゲームクリエイターになれます。ぜひマーベラスで、その力を発揮してほしいですね。

 

 

現場の裁量で開発フローを刷新

マーベラスでは、2016年を境に携帯ゲーム機から据え置き機に向けたマルチプラットフォーム開発を主軸とするタイトルが増えています。当時、私が担当することになったプロジェクトも、据え置き機用のマルチプラットフォームタイトルで、開発フローの刷新が必要だと感じました。そこでPBR(物理ベースレンダリング。光学に基づいてモデル化したレンダリング手法)の導入を進めたところ、他のプロジェクトにもうまくハマったんです。この時期から、セルルックのタイトルでも、基礎フローはPBRベースに移行させることができたと思います。PBRベースに制作フローを移行させたタイミングでSubstanceも導入しました。それから短期間で、ほとんどのコンシューマ内製開発タイトルで導入が進み、テクスチャワークの改善が進みました。

さらに現在は、Houdiniを導入してプロシージャル開発に取り組んでいます。Houdiniを利用したプロシージャル開発は世界的に注目を集めていて、良いタイミングで導入できました。新しい技術や機材などの導入に関して、それを使うとどういったメリットがあり、どれくらいの期間で費用を回収できるかということをきちんと説明できれば、投資額が大きくても否認されたことはありません。Houdiniも高価なツールではありますが、弊社ではまとまったライセンス数を導入することができました。それによって、スタッフ間での情報交換も盛んになり、ラーニングを楽しく進めることができて、プロジェクトへの導入がスムーズでした。自分がイメージする開発フローの構築に取り組んだり、予測できる問題に対して早期に対処できたりする自由度や裁量を現場に持たせてもらえるのは、クリエイター冥利に尽きますね。

テクニカルアーティストチームで技術革新を起こす!

Houdini導入によって、今まで時間がかかっていた手作業の部分をプロシージャル化し、Houdini Engineがインテグレートされたゲームエンジン内でHDAを利用することで、アーティストの労力を軽減させ、大幅な時間短縮やバリエーション展開、イテレーション速度の向上などを実現できています。まだまだ部分的にしか対応できていないので、どんどんプロシージャルで制作できる箇所を増やしていきたいです。

ただ、プロシージャル開発をするためには数学的な素養が必要な場面が多く、最初は苦労をしました。私はラーニングとして半年間は自宅のPCにHoudini Apprenticeを入れて、オフィスでも自宅でも毎日ノードを組んだり、ひたすらにVEXを書くという“写経”を続けていました(笑)。今でも苦労はしています!

Houdiniで自分が組んだロジックがぴったりハマって、狙いどおりのものをつくれたときは「快感」のひと言。あとはパラメーター操作や簡略化したデータをコントロールすることで自動的に生成されていきますから。Houdiniの醍醐味は、ゲームのデザインに合ったロジックを組むことや現実世界の事象や構造を紐解いて、知り得た情報を元にロジックをつくっていくことだと思います。また、一度つくったロジックは、アレンジしたり新たなプロシージャルの要素に取り組んだりと可搬性が高いところも利点です。

そのためには数学的な思考が必要ですが、実はもともと芸術と数学は親和性が高いんです。ダ・ヴィンチやミケランジェロも絵画に数学的技巧を取り入れてますよね。私は理系出身ではありませんが、プロシージャルのロジックを組むのは、アートについて考えるのと同じくらい楽しい。私は主に背景のプロシージャルを中心に制作していますが、キャラクターのセットアップツール制作が得意な人やアニメーションのAI、シェーダーが書けたり各DCC向けにツールがつくれるといった、いろんな強みをもった人たちがマーベラスに集まって、テクニカルアーティストの集団として技術革新を起こせたらおもしろいですね。

 

 

自分が得た知識を全社につないでいく

テクニカルアーティストには、得意分野があることに加えて、デザイナーとプログラマーの間に入って意思疎通を円滑にするコミュニケーション力や、担当箇所によっては絵のセンスも必要です。そして担当する領域は、テクノロジーとアートを融合させること。技術については、常に世界中の最新情報を自ら追い求めていく知識欲も大切です。また、知り得たことを実践してみるのも大事です。私も、今までそうしてきたし、これからも続けていきます。

そうやって得た知識を自分だけのものにするのではなく、社内で積極的に発信することで、会社全体のレベルアップにつなげます。それが、よりおもしろいゲームをつくることになり、ユーザーを楽しませることにつながる。テクニカルアーティストは求められることが多く、ハードルが高いのは事実です。しかし、“クリエイターが成長したい”と思う気持ちを、マーベラスは後押ししてくれます。もっとたくさんの技術や情報を吸収したいという人は、ぜひ私たちといっしょに、大勢のユーザーに楽しんでもらえるゲームづくりに取り組みましょう。

 

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
発売元:株式会社バンダイナムコエンターテインメント
開発:株式会社バンダイナムコスタジオ、株式会社マーベラス
 
 

PROFILE

Ryu

2002年に入社後、多数案件でアートリードを担当し、新規タイトルでもアートリードを行いつつ、テクニカルアーティストとしてテクニカルパートやライティングを担当。また、デザイン部のマネージャーとして管理業務や若手育成にも従事。

ツール
Houdini、Visual Studio Code、Substance
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